敷地は等々力渓谷へと連続する斜面につくられた住宅地にある。
敷地内の大きな高低差と風致地区の制限により、建物が建てられる地上部分が限定されていた。
そのため、多くの面積を確保する事が出来る地下にリビングルームを設けることになった。
地下へは、大きな階段室やドライエリア等が光を採り入れる通り道となっている。
建物の外形は四周に庇を設けるように、軒を1階の中間部分まで下げた大きな屋根に覆われている。
屋根に彫り込まれた開口部が、大きさと位置によって異なる奥行きをもち、窓の霧よけや囲まれたバルコニー、庇下の縁側的スペースといった小規模な外部空間をつくりだしており、これにより住宅の内部と外部環境との距離感が調整されていった。
ここでの外形(外観)デザインでは、屋根の掛け方により内部の空間のあり方にも関係し、また、法的制限の斜線を批評的に取り込みながらも、それを相対化した現れ方が模索された。
この住宅を介して、現代の都市型住宅が作り出す風景に対する新たな思考を喚起することが出来ればと考えている。
(岡村航太 / 8d)
DATA
所在地 :東京都世田谷区
主要用途:住宅
設計監理:8d / ハッチョウボリ・デザイン・オフィス
工事種別:新築工事
竣工年月:2009.02
撮影 :小島純司 45g photography HP→http://www.45g.jp/main.html