打合せと現場の合間に「日土小学校の保存と再生」という本の販促イベントへ。
日土小は松村正恒による木造モダニズムの名作、戦後木造建築として初の重要文化財に指定された小学校。
この本は、その保存再生工事の全記録です。
世界中の古き良き建築が保存と取り壊しの狭間にたたされて、多くが取り壊されていく中で、保存・修復は現代の建築にかかわる作り手全員にとってメインの大きなテーマだと思います。
僕たちの事務所のプロジェクトの中にも改修計画は半数を占めています。
簡単に言えばマンションのリフォームだけれども、それは社会的ストックを建築的に市場に再生させる意義がある。
そう思うが故に、積極的に取り組み続けています。
そしてそれ故に、社会的かつ文化的な財産の保存・修復を経て、再び建築として生き、風景となるまでのプロセスを丁寧にルポルタージュするこの本は、記録としてだけではなく今後の作り手達の指針として、とても資料性が高い。
そしてこの本の写真を撮り下ろしているのが山岸剛さん。
山岸さんの写真は、もの・人・自然のそれぞれの在りようをそのままに撮る。
子供がはち切れそうな笑顔で笑い、校舎は静かで凛々しく建ち、森は緑を誇っている、その様子をそのままに集めて、切り取った、写真。
それらが主従無く並べられた写真。
この主従の無さ、あるいは均質さが異様でもあり、その由来を考える。
画面の外側にあるであろう由来あるいは物語を考える。
それを山岸さんの写真は問うてくる。
この本の内容と山岸さんの写真はとても相性がいい。
中学高校で同級の山岸さんのサインも頂いた。
宝物にしよう。
8d 岡村航太
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